~警察官時代の現場から学ぶ、適切なトラブル対応~
1. ― クレーマーと思ったら、実は…

店の外で退会した客が騒いでいる。助けてほしい
ある日の勤務中、私のもとにスポーツジム店長から110番通報が入りました。
現場へ臨場すると、ドアを激しく叩いている男性と、店内で警戒するように立つ店長の姿。
一見「悪質クレーマー」のように思える事案でしたが、冷静に双方の話を聞くうちに、状況は少し違うことがわかってきたのです。
2. 事案の経緯
男性はジムでの迷惑行為を理由に強制退会処分となっていました。
しかし、本人は「退会の通知を受けていない」と主張。
店側の言い分
- 退会メールを送ったので、すでに手続き済み
- 直接話すつもりはない
- 今後は来店しないでほしい
- 警察でなんとかしてほしい
客側の言い分
- 退会理由に納得できない
- メールは届いていない
- 店長と直接話したい
- 返金や違約金の話も解決したい
- できれば今後もジムに通い続けたい
双方が感情的にぶつかり合い、まさに「クレーマー対応」そのものでした。
3. 警察官としての対応
私たちはまず、興奮している男性を落ち着かせたうえで、事実確認を進めました。
- 退会メールの確認
→ 男性の受信ボックスを確認したところ、退会メールは届いていませんでした。店側は「送ったつもり」だったことが判明。 - 今後の連絡手段の整理
→ 店内での話し合いは他の客に迷惑がかかるため、電話やメールでやり取りするよう提案。 - 金銭問題の線引き
→ 返金や違約金の話は警察では解決できないことを説明。
さらに私は男性に尋ねました。
「なぜ、そこまでしてこのジムに通いたいのですか?」
すると、彼はこう答えました。
「ここに入会したのは、店長のポスターを見て憧れたからです。店長のように強くなりたいんです。」
ただの迷惑行為ではなく、強い憧れから生じた行動だったのです。
4. 意外な結末 ― 退会処分の取り消し
私はこの理由を店長に伝え、再度冷静に話し合うよう促しました。
すると、これまで「直接話さない」と言い切っていた店長が態度を変え、
「一度、本人と話してみたい」と言い出したのです。
結果、両者が直接話し合うことで以下が明らかになりました。
- 退会通知が適切に送られていなかったこと
- 男性はトレーニングに真摯に取り組んでいたこと
- 激昂したことについて男性本人も反省していたこと
双方が謝罪し、最終的に退会処分は取り消しとなり、男性は再びジムに通えるようになりました。
5. トラブルから学ぶ「クレーマー対応の3つの教訓」
今回の事案から得られる教訓は次の3点です。
- 事実確認を怠らない
→ 「送ったつもり」「聞いたはず」で処理すると、大きな誤解を招きます。 - お客様の“本当の理由”を聞き出す
→ 怒りの裏には正当な動機や背景があることが多いのです。 - 冷静に話し合える場を作る
→ 感情的な場での対応は逆効果。環境を整えることが重要です。
6. まとめ ― 冷静な対応が信頼を守る
確かに今回の男性の行動は、威力業務妨害に発展する可能性のある危険な行為でした。
しかし、背景には店側の手続きミスや、本人の正当な動機が隠れていました。
もしこの場で一方的に「クレーマー」と決めつけ、男性を排除していたら、
ジムは大切な顧客を失うだけでなく、SNS等で悪評を拡散されるリスクもあったでしょう。
トラブルを未然に防ぐには、冷静な事実確認と、誠実な対応が欠かせません。
7. 当事務所のサポート
当事務所では、
- クレーマー対応マニュアルの策定
- 従業員向けの防犯・接客研修
- 警察OBとしての現場経験を活かしたトラブル対策指導
などを行っております。
「もしクレームやトラブルが起きたらどうすればいいのか?」と不安な事業者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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